時代をよく感じること、行動すること、あきらめない心、情熱を持って取り組むこと、これらは昔も今も変わらず大事なことだと学べる一冊。
松下電器、ナショナル、の創業者。(現在はパナソニック)
経営の神様と呼ばれた松下幸之助。
たくさん著作はあるのですがこれは隠れた名著だと思っています。

明治27年(1894年)和歌山で生まれ、九歳の時に大阪で奉公。
昭和9年(1934年)40歳あたりまでの半生の自叙伝。
明治維新からまだ66年経ったほど。
1894年〜1934年
この間、日露戦争、第一次世界大戦、関東大震災などがありました。
奉公と言ってまだ子供が働いているのがおかしくはない時代。今では信じられませんが。
自転車屋さんで奉公して6年後の15歳、電車が市内に敷かれていくのを見てこれから伸びていくのは電気事業だと感じ電燈会社に転職。
といってもテレビ、冷蔵庫、洗濯機もまだない時代です。
今では家電はあるのが当たり前ですが、まだ生活の中に家電製品は無かった時代なのです。
そんな時にこれからは電気事業だ!と思える先見の明、行動力にはただただ感服します。
7年間電燈会社で働いた後に独立。何も知識がないまま電気事業をおこしてしまいます。
まずは電気ソケット(アタチン)をつくるのですが、あるのは情熱だけで知識も経験もなし。
素材の煉物からどうやってつくるのか?他の工場の外にある廃棄物を調べたり本当に手探り状態からのスタート。


代表作のアタチン、二股ソケット
しばらく後の代表作、自転車の電池ランプ。
なんとそれまで自転車にローソクランプを使っていたそうで!
すぐに消えてしまい不便だったのを解決しようとつくられたそうです。

世の中にに無い物をつくるのですから、やはり最初は売れません。
電池ランプは世にもう製品としてはあったのですが、質が悪くすぐに消えてしまったりと大不評。
問屋ですらあつかってもらえず自転車屋さんに直接ただで配り歩き
点けっぱなしにして点火試験をしてもらい
良い製品だと理解されてだんだんと売れるようになりました。
売り出し方、小売屋、問屋、銀行、などとの交渉術も
誠意と筋をとおしながらも大胆でこれもまた読みどころです。
このあとも次々と電化製品をつくりだしていくのですが
テレビ、冷蔵庫、洗濯機(昭和30年代〜)はまだまだ先の話。
この本は昭和9年くらいまでの自叙伝なのです!
事業が発展していくにつれて
人を育てる、人物養成
経営の哲学(水道哲学)
この二つを大事にしていきます。
水道哲学とは
それは水道の水だ。加工されたる水道の水は価がある。
今日、価あるものはこれを盗めばとがめられるのは常識だ。わが半生の記録 私の行き方考え方 松下幸之助
しかるに、水道の水は加工された価あるものなるにもかかわらず、
乞食が水道の栓をひねって存分にその水を盗み飲んだとしても、
水そのものについてのとがめはあまり聞かない。
これはなぜか。
それは価あるにもかかわらず、その量があまりにも豊富であるからである。
直接生命を維持する貴重な価値ある水においてすら、
その量があまりに豊富であるがゆえに許されるということはわれわれに何を教えるか。
それは生産者の使命の重大さと尊さを十二分に教えて余りあるもの、という感を受けた。
すなわち生産者の使命は貴重なる生活物資を、水道の水のごとく無尽蔵たらしめることである。
いかに貴重なるものでも量を多くして、無代に等しい価格をもって提供することにある。
かくしてこそ、貧は除かれていく。貧より生ずるあらゆる悩みは除かれていく。
2024年、現代はどうでしょう?
便利なもので溢れかえっています。
洗濯も、掃除も、食器洗いも、家電がやってくれます。
パソコン、スマートフォンも誰もが持っています。
もうまさに水道哲学の通りになっているのではないでしょうか。